サボテン科エキノプシス属 短毛丸の胴切り

2013年02月28日 更新

私がサボテン栽培を本格的に始めたきっかけとなった短毛丸の胴切りについて書きます。
それは2007年の春のことでした。
母が育てていて5年以上植え替えをしていなかったサボテンの大鉢を重い腰を上げて植え替えにチャレンジした時の事でした。
このときはサボテンの品種がエキノプシス属短毛丸(たんげまる)ということすら知りませんでしたし、しばらくは「たんもーまる」と読んでいました。

下の写真は2006年6月に咲いた時のもの。
株径14cm前後の大株4株とその間にも子株が12号のプラ鉢にぎっしりつまった群生株です。

2006年開花した時の短毛丸

2006年には見事な花を咲かせてくれていましたが、土を落としてみたらビックリ。
下半分ほどが完全に腐っていました。しかも4株ともすべてです。
1株からはなんとサボテンを食事中のナメクジまで出てきました。
他の鉢に比べて少し萎んだ感があったのですが、こんな状態になっていたとは!

2007年植え替え時の短毛丸

上の写真は見るも無惨な短毛丸ちゃん達です。

どうすればいいのか全く分からないのでネットで調べて見るとサボテンの胴切りによる株の再生方法が載っていました。
そこで天候は良くないが、胴切りに初チャレンジ。
どれも直径14cm前後の古株なので捨てるのはもったいないもんね!
いろんなサイトでさらに胴切りについて詳しく調べてみたら概ね以下のような方法で良さそうだ!。

胴切りの仕方
まず消毒したカッターやノコギリ(直径30cmを越える大株や維管束が固い品種など)で腐っていそうな箇所よりやや上で水平にカット。
そして断面が真っ白(マミラリアなど品種によっては健康な株でも真っ白でなく少し色が着いているものもあるようです)であればいいですが、まだ芯の部分が変色していたりすると、さらに上でカットする。
とにかく真っ白な断面になるところまでカットしなければいけません。しかし全体の2/3以上を切り落とさなければいけないような場合は、乾燥に耐えられなくて枯れてしまう場合があるようです。
また変色しているところは菌が繁殖しているので、カットするごとにカッターや包丁は汚れを拭き取り、アルコール液などで消毒してから使うようにします。

・次に周辺を斜めにそぎ落とす。(中央部の維管束付近が乾燥中に大きく凹むため)

・そして切り口には殺菌剤を塗布する。

・切り口を上にしてなるべく直射光にあてて数日間乾燥させ、その後は切り口を下にして1ヶ月ほど乾燥させます。

・そして発根すれば植え込んでOK(発根してから植え込んだ方が腐りにくい)

2007年4月1日 切ってみた!

2007年胴切りした短毛丸

できあがりはこんな感じ。
株全体が群生鉢で混み合っていたため歪んでいるので、維管束が中央にないのでどうなることやら。
さてうまくいくのか??

今回胴切りした短毛丸のような大株は、かなり大きく周辺をそぎ落とす必要がありますが、株径5cm程度のものなら、調理でおこなう面取りをやや大きくした程度で良いと思います。また短毛丸はヒダサボテンなので周囲を回しながらカットすることが難しいので4方向にそぎ落としていますが、疣(イボ)サボテン(マミラリア属の猩々丸や月影丸等)などは、回しながら全周をそぎ落とすときれいに仕上がると思います。ただしマミラリア属の内裏玉や白鷺のように中棘が硬い品種は、回しながらだと棘に引っかかって、うまく切れませんので、細かくそぎ落としていった方がいいです。

実際に短毛丸を切るのに準備したものは以下の通りです。

胴切りした短毛丸

上の写真には消毒液は写っていませんがこんな感じです。(2009年4月6日の胴切り時の写真です。2007年の初の胴切り時は写真どころではなかったので、最近の写真で補足しています)

1.包丁
2.消毒液(電解水生成器で作った強酸性水)と消毒用アルコール
3.清潔なタオル数枚と新聞紙
4.新聞紙
5.殺菌剤 STダコニール1000液剤とビスダイセン水和液(最近はベニカXファインスプレーをさっと散布し、ルートンを塗しています。)
6.容器とハケ(殺菌剤塗布用) 殺菌剤ごとに2本の刷毛が必要
7.ルートン(発根促進材ですが、殺菌剤の上からルートンを塗すと、カビはたいへん生えにくくなります。)

胴切りするのが直径14cm以上の短毛丸なので普通のカッターやナイフでは刃渡りが足りません。
今回は包丁でチャレンジ。以前よく使っていたステンレス製の片刃包丁を研ぎ直しました。

消毒液は包丁の消毒に使います。
切った時に雑菌が進入するのを防ぐためです。
カッターのように刃が交換できるのであれば、消毒はライターの火で炙って殺菌するのが簡単で効果が高いですが、包丁だと切れ味が悪くなる可能性があります。
そこで我が家ではうどん粉病予防に使っている強酸性水と消毒用アルコールを用いました。
この強酸性水は病院などでも消毒に使われていた効果の高い衛生水で、食塩水を電気分解して生成するものでPH3以下、酸化還元電位は1100mv以上の水です。
衛生水によるうどん粉病予防の話はまた別の機会にでも。

切ったときに大量に出てくる水分が包丁についたのを最初に新聞紙でふき取り、ある程度きれいになったところで、タオルで拭き取り、その後消毒液を包丁に散布し、新しいタオルで拭き取ります。

新聞紙はサボテンのトゲを痛めないためのベッドとして使用します。くしゃくしゃにして何枚も重ねて使用します。

殺菌
殺菌剤は家にあったSTダコニールとビスダイセンを使用。
濃度は通常の散布よりは2〜3倍高い濃度で、それぞれ単独で薬剤を作りました。
そしてハケでSTダコニールを塗り、少し乾いたら別のハケでビスダイセンを塗布しました。
混合液を作った場合、薬効があるのか、また副作用がないか等分かりませんので、単独で使用しています。
水和剤の粉末をそのまま塗布する人もいるようですが、さすがに怖くてできませんでした。
最近はベニカXファインスプレーをさっと散布し、ルートンを塗しています。ベニカ散布しなくてもルートン塗しておくだけで、カビはほとんど生えません!

胴切り後の管理
殺菌後は新聞紙をベッドにして、風通しがよく、日当たりのよい場所で乾燥させます。私は1階南側の軒下の棚に置いています。ただし切断面以外には強い光が当たらないように新聞紙でくるんでいます。

胴切りしてから1週間後(2007年4月8日)の短毛丸です。

酸化した胴切り短毛丸

ところどころオレンジ色の斑点が見えます。
黒くなってくると雑菌が進入し腐ってきたことになるのですが、オレンジ色は酸化した部分です。
乾燥時、強い太陽光線に当てすぎたためです。
でも広がってはいないので、これぐらいであればそのままでも特に問題ないようです。

乾燥中胴切り短毛丸

上の写真は正常な乾燥状態です。(ただし胴切りから三日後の2009年4月8日のものです)

一週間後のこのあたりから、逆さまにしていた株を生長点が上(普通に見える向き)になるようにして、発根するまで管理します。
私は屋外の雨の当たらない場所、かつ風通しのよい半日陰(午後2時頃までは透明の波板越しの光が当たる)に置いています。
大きめの金ザルに新聞紙をくしゃくしゃにして入れ、その上にサボテンを置いています。こうすることで新聞紙にも風が当たり低湿度が保たれます。

胴切り短毛丸

ただしアカダニには注意しましょう!!稜の谷が茶色く変色していたりするとアカダニの被害ですので、殺虫殺菌剤をハケで塗っておいた方が良いと思います。アカダニにやられたところから腐ることもあるので!
発根するまでは一週間に一度程度、切断面を確認しています。また雨が強いときや湿度の高い日が続くときは室内に取り込んでいます。

胴切り後の植え込み時期と培養土

胴切りして1ヶ月半(2007年5月16日)短毛丸が完全に発根しました。
短毛丸の根は下の写真のように太いものでした。 赤玉土が3〜4mmですので、根の太さが分かると思います。
発根時は胴切り時に比べ、株径で1cm、高さで3cm以上縮んでいました。

発根した胴切り短毛丸

でも一つ心配なことがあります。
それは維管束部(中央の丸い部分)と外側の縁の部分は同じぐらいの高さなのですが、その間の部分がかなり凹んでいることです。
このままではその部分の土の乾きが悪くなる可能性があるからです。
でも縁の峰の部分もかなり萎んでいますので、根が水を吸収し始めると全体に張ってくるので、この凹んだ部分も張ってくると思います。
これぐらい根が出れば、培養土に植え込み(のせるだけですが)、最初の水やりをしてもOKです。

*室外、特に庭に面した1階の軒下などで栽培されている場合、発根直後の株はネジラミ等の被害に遭う可能性も高くなりますので、2回目の水やり時は株周辺にオルトラン粒剤を少量まいてから水やりした方がいいのではと思っています。
5階以上のマンションのベランダや室内で栽培されている場合はネジラミ、ネカイガラムシなどの被害は少ないのでそれほど気にすることはないと思いますが。
10年以上マンションで多肉系観葉植物、アロエなどを育ててきましたが、一度も被害に遭いませんでしたが、現在のように戸建ての庭で栽培するとこれだけ害虫などがいるのだと痛感させられました。(もちろんそういった害虫が潜む鉢植えがたくさんある場合などは別ですが)

短毛丸(株径6cm以上)の培養土レシピ
赤玉小粒(3〜4mm)5:腐葉土2:たい肥2:ゼオライト0.5:日向土小粒0.5
サボテン用たい肥の作り方はこちら
ただし表土1〜2cmは無肥料の赤玉土だけです。

発根後植え込んだ胴切り短毛丸

発根後6号プラ鉢(内径16.5cm)に植え込んだ胴切り短毛丸3鉢です。今回4株を胴切りしましたが、この時点では1株だけ、まだ発根していなかったので3鉢です。(5号鉢でもいいぐらいですが)
またかなり上部で胴切りした株もあるのが分かると思います。
最後の1株は1ヶ月遅れの6月15日に発根しました。

胴切り後の生長ですが、株元が腐ってきていた我が家のケースのような場合は大変良く生長します。ですが花や子吹きは少なく本体の生長にエネルギーを使うようです。
ひょろ長く伸びて形が悪くなって胴切りした様な場合は、大きく生長すると言うよりは、子吹きや花をたくさん咲かす傾向にあるようです。

7輪同時開花の短毛丸

上の写真は今回(2007年4月)胴切りした株の中の1つです。
その後立派に生長しました。植え込み時と同じ鉢を使っていますのでその生長ぶりが分かると思います。
2008年8月4日には見事な花を咲かせてくれました。(2008年は合計18輪の花を咲かせてくれました。)

昨年2008年4月にも2株胴切りしました。
この時の株は群生していたため形がかなり歪んでいたので、形を良くするために胴切りしたのですが、その後は2株とも20輪以上の花を咲かせました。

胴切りの時期について
大変健康に育ってはいるが、形が悪くなったものを胴切りする場合は、発根までの時間が1ヶ月半以上はかかることから、なるべく早い時期に切った方がいいかと思います。短毛丸の場合、3月中旬からガンガン生長しますし、4月初めからは花芽も出てきますので、胴切り後の温度さえ確保出来れば、2月初めぐらいが最適ではないかと思います。胴切り後の温度が低いと発根までの時間が1ヶ月半よりはるかにかかることも考えられますので、胴切り後最低気温が10度以上が確保出来ない場合は、もう少し暖かくなるのを待って切った方がいいと思われます。

腐ったり、害虫の被害が出た場合などは、季節に関係なく即切った方がいいです!
冬場であれば、室内のなるべく温度が確保出来る場所で管理すればなんとかなると思います!我が家では4月前半はまだ零度近くまで下がったりしますが、大丈夫ですから。でもこれは耐寒性のある短毛丸での話ですから、耐寒性のない品種の場合は、その品種の越冬温度プラス5度ぐらいは最低でも確保しなければ難しいことは容易に想像できます。


2009年の胴切り後の観察

2009年5月23日
昼休みに見に行ったところ、4月6日に胴切り後乾燥中だった短毛丸(たんげまる)がついに発根し始めました。

胴切り短毛丸

切断面側の縮みは予想以上に少なく、狙いは的中したみたいです。
これでは少し分かり難いのでアップのせます。

胴切り短毛丸維管束周辺

維管束の周辺に亀裂が入っているのが分かると思いますが、これが徐々に大きく裂け、根が出てくるのです。あと2〜3日でかなり出てくると思います。
発根開始時は維管束の周辺が多いですが、しばらくすると襞(ヒダ)の先端部分あたりからも発根し始めたりします。
発根したばかりの根は乾燥に弱いので、水を湿らせ固く絞ったガーゼを維管束周辺において湿度を確保しながらさらに発根を促します。ただしその時の気温や湿度にも依りますが1週間ぐらいが限度で、それ以上だと根が傷み始めますので注意が必要です。

胴切り短毛丸に花芽

切った直後に比べるとかなり縮みましたが、6ヶほど花芽を付けています。4ヶはもう2cmほどになっています。この株は2/11が最後の水やりですので、3ヶ月以上の完全断水状態ですが、すさまじい生命力だと思います。

2009年5月30日
発根開始から一週間、完全に発根しました。

完全に発根した胴切り短毛丸

ここまでくればもう大丈夫です。
明日にでも植え込もうと思います。
外径や高さはかなり縮んでいますが、維管束と周辺の高さはまだ周辺の方が低いところもあるぐらいなので、今までの胴切りの中では最も凹みが少なかったと言えます。
やはり掘り上げてから胴切りまで時間を取ったのが良かったのかも知れませんが、株の負担は今までより多いのか?少ないのか?
植え込み後の生長の仕方で分かると思います。

2009年5月31日
完全に発根した胴切り短毛丸(たんげまる)を植え込みました。

植え込んだ胴切り短毛丸

株径18cm強あったのが16cm強程度まで縮んでいますので6号でも良さそうですが、元々の7号鉢に植え込みました。
ネジラミなどの被害に遭わないように、また根を傷めないように、今回は湿らせた培養土で植え込んでいます。また水で株の汚れを落としてから植え込みました。(乗せただけです)

培養土のレシピは以下の通りです。
赤玉小粒5:腐葉土2:たい肥2:イズカライト0.5:日向土0.5
たい肥は自家製サボテン専用 作り方はこちら
腐葉土は市販品を1年以上寝かせたもので、使用する1週間以上まえから苦土石灰と草木灰を少し混ぜてさらに寝かしてあります。
肥料は有機肥料小粒(N:P:K=4:6:4)を少量、骨粉粒を少々入れています。
今回は7号鉢ですので鉢底にはパミス(天然の多孔質火成岩を選別、8〜10mm程度のものを使用)を2cm程度敷きました。
ま た培養土も鉢底付近は5〜6mm、中間部は3〜4mm、上部は2〜3mmのものを使用、表土は赤玉のみで2〜3mmのサイズを1cm程度敷きました。ただ しイズカライト、日向土は赤玉と完全に同じようには選別出来ないので、若干大きさが異なっています(小粒と細粒から極力近くは選別していますが)。

腐葉土は1年以上寝かせたと書いていますが、わざわざ寝かせているのではなく、古い腐葉土から使っているだけです。腐葉土は年に1回20L入りを10袋まとめて購入し、余った分などが自然と長期間寝かせたものなっているのです。

2009年6月12日
胴切り短毛丸(たんげまる)が昨日開花しました。さすがに発根後、植え込んで間もないので、花径は標準で11cm前後でした。

胴切り短毛丸開花

表土の赤玉土の上に白い粉のようなものが見えますが、これは先日散布したオルトラン粒剤です。こんな感じで全周に少量を蒔いています。

2009年8月8日
1輪だけですが開花させました。これで4回の開花でトータル10輪となりました

胴切り短毛丸開花

株の生長にかなりパワーを使っていると思うのですが、いいペースで咲かせてくれています!
花径も12cm弱でした。株もけっこう膨らんできて元の株径18cmを越えました!!
あと2〜3輪は咲かせてくれそうです!!!

2009年8月16日
2輪開花させました。これで5回目の開花でトータル12輪となりました

胴切り短毛丸の花

花径は11cmほどで標準サイズでした!


この胴切り短毛丸くんは2009年は9月21日までに6回の開花で14輪開花させました。
我が家の短毛丸の1株あたりの平均開花回数は5.9回、平均開花数13.1輪なので、ちょうど平均的な開花となりましたが、昨年(2008年)の10回、24輪に比べると回数、開花数ともに60%程度ですので、胴切りによる株への負担はかなりあったものと思われます。

2010年01月20日
胴切り後9ヶ月たった状態です!見違えるような姿です!!


短毛丸大株

ここ数日気温が一気に上がったこともあり、生き生きした感じがアレオーレの綿毛に見られます。太陽に当たると黄金色に輝く感じは大変きれいです。こんなに綿毛が出てくるのは例年では早くても2月上旬ぐらいなのですが、ちょっと早すぎます。でもこのクラスになると棘も立派です。黒い太 い短い棘が最初からこの数出てくるのは大株ならではです。水やり後2日ですが培養土も完全に乾いていますし、株径も大き くなり7号鉢(鉢外形21cm)では少し狭い感じですので、2月に入れば早めに8号鉢に植え替えたほうが良いかもしれません。

2010年の胴切り後の観察

2010年03月28日
前から何度も書いていますが、我が家の株は全て群生していた株ですので、株元がJの字のように曲がっていたり、角張っていたりして、鉢の中央にうまく植え込めない、けっこう株元の老化が激しいなど、色々問題を抱えている株ばかりです。ですが今回の株はちょっと事情が異なります。

急激な生長で襞の谷が裂けた短毛丸

上の写真の中央付近を見ていただければ分かりますが、稜の谷の部分が裂けています。これは昨年5月過ぎに急激に生長したため、裂けてしまったのです。短毛丸のような襞(ひだ)サボテンでしかも表皮が硬い品種、特に稜の数が少ないものなどではたまに起こるようです。この株はこの反対側にも1箇所あります。発症して直ぐに、殺菌剤や殺虫剤を与え、水やりなどで水が入らないようにするなど対策してきましたが、どうもここから腐り始めたみたいです。それで今回胴切りしたわけです。でもこの裂け目より上で切らないと、いけないわけですからかなり上部しか残らないのです。裂けた時に直ぐにカルスメイトなどで裂け目を塞いでいたらこんなことにはならなかったと思います。

胴切り後乾燥中の短毛丸

今回写真を撮っていないので、乾燥中の物しかありません。ですが今までもっとも大きく切りました。
以降はとにかく発根するまで明るい日陰で管理します。

2010年04月01日
酸化なども見られず、良い感じに乾燥が進んでいます。現在はまだ切断面を上にしていますが、あと2〜3日乾燥すれば、上下を反転させ、生長点が上になるようにして、少しずつ陽に慣らしていきます。

胴切り短毛丸乾燥中

先日の写真ではまだ切断面がしっとりしているのが分かりましたが、上の写真では完全に乾いて、維管束の周辺が少し凹みだしたのが分かります。切断してから5日経ちますので、もう切断面にカビが生えたり、腐り始めたりする可能性はほとんど無いと思いますが、心配ならば反転するまえにもう一度殺菌剤を塗布しておけば安心です。私のこれまで経験からすると、発根までの間かなり乾燥していますので、赤ダニの被害に遭いやすくなることです。ですから反転後、ベニカXスプレーやビスダイセンを散布するなどしておけば効果があります。
普段病害虫に強い植物でも、植え替え直後は病害虫に弱くなりますし、ましてや胴切りのような大手術を行った直後ですから、普段以上の注意を払う必要があります。

2010年04月05日
乾燥中だった短毛丸の切断面が酸化しました。これまで酸化の原因は強い太陽光線に当てすぎたからだと思っていましたが、どうも違うようです。

切断面が酸化した胴切り短毛丸

今回乾燥させていた場所は、陽当たりの良い室内で、しかもレースのカーテン越しです。昨日昼過ぎに見たときはまったく変化はありませんでしたから、以降から今朝までの間に酸化したようです。酸化と言っていますが、日焼けとも言える現象ですので、それから想像すると、強い太陽光線だけではなく、高温と低湿度も関係しているようです。昨日は室内の気温が23度程度ありましたし、湿度は10%台でした。ですから日焼けし易い条件に当てはまりますので、これが原因だったと思われます。
今日からは反転させ、明るい日陰に移動させ、発根するまで管理します。ただしばらくは気温も高いですし、乾燥注意報も出ていますので、ベニカXスプレーを散布しました。ベニカXスプレーはヒイラギやシャクヤク、その他鉢植えの花や観葉植物のアブラムシ、山茶花のチャドクガ、 菊、百日紅のうどんこ病、馬酔木のアセビグンバイムシなどに効果が高く、急な発生時に便利なので、1本は用意しています。サボテンにも特に副作用はないので、胴切り株にはたまに使っています。

2010年06月07日
やっと発根しましたので植え込みました。4月5日の日記で酸化したと書いていますが、6月に入ってからの高温乾燥が影響したのか、酸化が一気に進行しました。

胴切り短毛丸発根

私もこんなに酸化したのは初めてです。でも黒く腐ったようなところはありませんのでたぶん問題ないと思います。発根は維管束の回りだけでなく、けっこう離れたところからも出てきています。上部で切断するほどいろんな所から出てくる気がします。襞の先端からも出てきたこともありますしねぇ!!
とにかくここまでくれば植え込むだけです。

胴切り短毛丸発根 胴切り短毛丸植え込み 胴切り短毛丸の花芽

培養土は短毛丸標準ですが、表土2cmは赤玉だけです。それと発根したばかりの根は傷みやすいので、今回はしっかり灌水してから載っけました。この株は1月18日が最後の水やりですから5ヶ月近く完全断水だった訳ですが、右の写真のようになんと花芽が出てきています。いつも思うのですがサボテンの生命力は凄いですよね!!しかももう2cm以上になっていますので、10日から2週間後には開花してくれそうです!

2010年06月15日
花芽がだいぶ大きくなってきました。あと2、3日で開花すると思われます。

胴切り短毛丸の花芽

根もかなり張ってきたみたいです。土の乾きもかなり早くなってきました。

2010年06月17日
開花しました。
かなり根も張ったようで、動かなくなりましたし、培養土もわりと早く乾くようになってきました。

胴切り短毛丸開花

花径もかなり頑張って12cmありました。胴切り後や植え替え直後は株の生育や根張りにエネルギーを使い花径はかなり小さくなることが多かったのですが、今回は花芽1ヶしか着けていなかったせいか、標準以上で開花しました!

今日は胴切り株以外も数多く開花しているのですが、午前5時から出かけて先ほど戻ってきたばかりなので、数字だけお伝えしておきます。昨日からの開花株はこの胴切り株をいれて10株で、18輪を開花させました。また先日裂けた花盛丸の親株も3輪を開花させていました。そして今晩から開花し始めた株は、先ほどの10株とは違う株4株で7輪を開花させています!

2010年11月02日
胴切り後半年が過ぎました。現在は別宅で管理しているので小まめに世話することはできませんが、6号鉢いっぱいまで株が膨らみ、アレオーレの綿毛も見事に輝き完全復活です!!

完全復活胴切り短毛丸

2009年は11輪開花させましたが、さすがに胴切り後のため2輪の開花に終わりました。しかし今までで最も上部で胴切りしたので、かなり心配していましたが、ここまで回復し、いやそれ以上の株径になったのはたいへん嬉しいです!
来年は昨年以上の開花を期待したいものです!!

2011年06月03日
夕方別宅に行って、水やりしてきました。この時期2週間水やりしていないとさすがにカラカラに乾いていました!

開花間近の短毛丸

胴切り前は平均15輪ほど開花させていましたが、昨年は2輪でした。ですが今年は既に3輪開花させ開花間近の花芽が9ヶも着けています。
大変締まった良い株に生長してくれましたので、今年は20輪以上は開花してくれそうです!


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Cometの栽培環境
関西中部の高温多湿、冬はけっこう寒い地域で、かなり厳しい環境です。
2008年〜2013年2月現在までの実測でベランダの温度はマイナス7.9度からプラス42.2度まで変化します。
基本は無加温、防寒、防風処理なしのベランダ栽培ですが、水やり後一週間以内で最低気温がマイナスの予報の時だけ5cm以下の子株は室内に取り込むようにしてます。
風の通り道にあるので、日照が無くても表土は割と早く乾きます。
水は基本的には雨水(弱酸性)を使用。貯めた雨水を使う場合と雨の日に外に出す場合とがあります。
水道水はPh5.8以上〜8.6以下に定められていますが、多くはPh7以上、地域によっては8以上のアルカリ性ですので、水道水をそのまま使うことはありません。私の町の浄水場のPhは7.39(2008年3月問い合わせ時)
水道水を使う場合は浄水器を通した水を前日かそれ以上前に充分攪拌し汲み置きして使います。
4月〜11月は基本的には常温の水ですが、12月〜3月の間は状況に応じて、暖め水温30〜35度でやる場合もあります
培養土のレシピ等もまだまだ試行錯誤の段階です。
もし参考にされる場合は、ご自身の栽培環境等十分に考慮し参考にしてください。



このページは、Cometのサボテン栽培日記で投稿した内容をまとめたものを、その後の経験等に基づき、随時加筆修正しています。

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