サボテン科エキノプシス属 短毛丸の株分け、子サボの育て方

2013年02月28日修正


3月も中旬に入りそろそろ植え替えのシーズンになってきたわけですが、株分けも適期になってきますので、短毛丸(たんげまる)の株分けについて書きます。

まず子株が付いた親株を用意します。

子株の付いた短毛丸 子株の付いた短毛丸

今の時期(3月中旬)であれば、直径(刺も含む)15mm以上の発根した子株を使うほうが良いかと思います。
上の写真では3ヶのうち両端の子株ならOKそうです。

左の仔株を取ります。
子株の取り方は右から左に真横に力を入れるか、もしくは右下から左上に斜め下から上に力を入れて、取ります。
上部の子株ならば指でも取れますが、このように指が入らないような場所の場合は、ピンセットや割り箸で子株を潰さないように子株の株元に力を加えます。

上から下に押さえれば取れそうに見えますが、花芽や子株はアレオーレ(刺座(しざ))の上部にあるので、上から下に力を加えるとアレオーレごと取れてしまい、二度とそこから刺が出てこなくなってしまいます。

子株の取れた跡のアレオーレ

上の写真は子株を取った跡です。
子株が付いていたアレオーレの上部が凹んでいるのが分かると思います。

短毛丸の子株

この子株は直径15mm(刺も含む)ありました。
また1本ですが3mmほど発根していましたので、充分株分けするのに使えます。
直ぐに植え込んでも問題は無いと思いますが、念のため2〜3日は乾燥させます。

植え込んだ短毛丸子株

同じぐらいのサイズの子株を集めて、植え込みます。
2cm〜3cm程度の間隔で4〜8ヶぐらいは植え込んだ方が良いと思います。というのはサボテンは1株ごとに植え込むより、何個か一緒に植え込んだ方が生長が早いと言われているからです。
上の写真は2006年5月28日に株分けした時のものです
。5月28日はちょっと遅いです。できれば3月中旬から下旬頃に行うのが良いかと思います。
素焼きの4号浅鉢に植え込みました。
培養土は赤玉小粒(2〜4mm)8:腐葉土2で底にはパミス(天然の多孔質火成岩を選別6mm程度のものを使用)を敷きました。
肥料は入れていません。(最近ではマグアンプKなどを少量入れています)

この段階では水やりはしません。霧吹きで表土が少し湿る程度にします。
これを5〜7日ごとに繰り返します。ただしまだ表土が乾いていないようであれば乾くまで間隔をあけます。
置き場所は、なるべく早くしっかり根を張らせたいので、日当たりの良い室内の窓辺に置きます。また病害虫の被害にもあいにくい事を考慮して室内の方が良いと思います。(夏場は風通しの良い半日陰に置きます)
そして1ヶ月後、株を少し持ち上げてみて根が張っているなとなれば、水やりをします。(短毛丸の場合、浅鉢だったらもう既に鉢底から根が出ているかも)
この時は鉢底から透明な水が出るまでしっかり与えます。
次回の水やりタイミングは、鉢底まで完全に乾いてから与えます。
確認方法は竹串を培養土の底に当たるところまで刺しておき、抜いて色の変わり具合でみるとか、鉢底穴から見える赤玉土の色で確認するなどします。
2ヶ月後からは月に1回薄い液肥を与えます。ただし8月は生長が止まりますので、液肥は与えない方が良いと思います。また10月以降も液肥は与えません。
我が家の短毛丸は化学肥料にも割と強いので、私はハイポネックスのハイグレード観葉植物用(N:P:K=7:4:4 に15種総合栄養素、ビタミン含有)を2000倍に薄めて与えています。(以前はかなり薄目で与えていましたが、最近は2000倍程度で与えています。ただし日照時間が取れなかったり、適切な光量を与えられないと、徒長し易くなるので、以前のようにかなり薄めの方がいい場合もあります。)

短毛丸子株

上の写真は2006年9月4日の秋の植え替え直後の写真です。予想以上に大きくなりました。
サボテンの子株は、特に短毛丸のように生育旺盛な子株は春と秋の2回の植え替えが、大きく生長させるポイントです。
培養土のレシピは以下の通りです。
赤玉小粒(2〜4mm)7:腐葉土2:たい肥1
底にはパミス(天然の多孔質火成岩を選別6mm程度のものを使用)を敷きました。
この時のたい肥は自家製ですが草花用として作っていた物で、現在のサボテン専用たい肥よりは濃度が高めです。N:P:K=4:6:4ぐらいのバランスです。
培養土にたい肥を入れていますので、液肥や置き肥などの追肥は一切必要ありません。
これぐらいのサイズになりますと置き場所は室内ではなく親株と同じ場所でOKです。
真夏を除き、なるべく長時間直射光に当てます。
短毛丸は割と雑に扱われがちですが、真夏の強光線は苦手です。真夏は30〜50%程度遮光した環境で育てると、深い緑を保ちますが、直射光を当てますと日焼けして、黄緑色になってきます。

短毛丸子株

上の写真は2007年3月22日の春の植え替え直後の短毛丸です。1年で倍以上の大きさになりました。
鉢は3号プラ鉢です。
培養土のレシピは以下の通りです。
赤玉小粒(2〜4mm)5:腐葉土2:たい肥2:イズカライト0.5:日向土0.5
底にはパミス(天然の多孔質火成岩を選別6mm程度のものを使用)を敷きました。5号鉢以下のプラ鉢なら底石は必要ないのですが、初めての鉢上げなので念のために底石をいれました。

ただし、たい肥は自家製のサボテン専用たい肥なので、市販されているたい肥で肥料分が強い場合は子株には強すぎるので、割合を2から1に減らし、その分腐葉土を0.5、日向土を0.5増やしたほうが良いと思います。
サボテン用たい肥の作り方はこちら

培養土にたい肥を入れていますが、陽射しの弱い時など、微量元素を含んだ液肥や、微量元素のみに活力剤を与えた方が良い場合もあります。水やりはプラ鉢なので、ほぼ底近くまで乾いてから与えます。

短毛丸子株


上の写真は2007年6月19日 春の植え替えから約3ヶ月一気に生長した短毛丸です。
植え替え後は根が張っていないので、株はほとんど大きくなりませんが、1ヶ月ほど経つと、生長し初め、気温の上昇とともに一気に生長するようです
株分け当初から個体差はありましたが、これぐらいになるとかなりはっきり分かります。
株径は5.5cm〜6.8cmになりました。

短毛丸子株


上の写真は2007年9月3日の秋の植え替え直後の写真です。4号浅鉢に植え替えました。
株径は7.5〜8.8cmになりました。株分け時の3倍ほどの大きさです。
培養土のレシピは春の植え替えと同じです。


短毛丸の根

上の写真は2008年3月29日に4号深鉢に植え替え時のものです。
しっかりと根が張っていたのが分かると思います。
株径は8cm〜9.0cmでした。
2008年は5輪の花を咲かせてくれました。

2008年9月7日身体測定をしたところ、株径は9.8cm〜10.2cm 高さは5.5cm〜6.3cmになっていました。

秋の植え替えは花後の9月17日におこないました。

短毛丸子株

上の写真は2009年2月11日のものです。株径は11cm近くになりました。
今回の植え替えでは5号鉢にする必要があります。

植え込み後の短毛丸

上の写真は2009年3月8日に植え替えたときのものです。
5号深鉢にしました。
株径は11cmを越えています。
2006年5月28日に株分けしてから4株全てが元気に生長し、株径10〜12cmのサイズにまでなりました。

2009年4月10日
植え替えてから一ヶ月が経ち、花芽がでてきました。
大株はもう少し前から花芽らしきもの(出始めは花芽と子株の区別が付きにくいので)がかなり出てきていたのですが、10cmの子株にも花芽が出てきました。大株には既に10ヶ以上出ていますが、最も小さなこの子株にも5ヶありました。

短毛丸の花芽

昨年(2008年)は4月23日頃から花芽が確認できましたが、ここ数日の5月下旬の暖かさ(最高気温が25度を超えると)で、一気に花芽を付けたようです。まだ植え替えていない株もあるので、ちょっと困っています。
花芽がでると、子吹きも大きくなったり、新たに出始めますので、1cm以上になった子吹きを取りました。
子吹きをそのまま付けておくと、エネルギーが花にまわらず、開花数の減少や花径のサイズダウンに繋がるからです。

2009年5月14日
子株の花芽もだいぶ大きくなってきました。また3月8日に植え替えて以降、株径も若干大きくなったようで12cm近くになりました。

短毛丸の花芽

この子株で膨らみだした花芽は6ヶ、また花芽になりそうなのがまだ2〜3ヶあります。株径12cmもあるのですから「子株」と呼ぶのはそろそろ止めようかなと思っているのですが、でもこうやって並べるとやっぱりまだまだ「子株」ですよね!

短毛丸

左の株は昨年(2008年)4月に胴切りした株で高さは低いですが、株径は19cm(刺含む)ほどあります。現在花芽は13ヶ付いています。昨年は胴切り後だったので若干開花数は少なく21輪でした。

2009年5月27日
今年最初の花を3輪開花させました。
写真取り忘れてありません。

2009年6月8日
4輪目を開花させました。

短毛丸の花

上の写真は翌朝6月9日の早朝のものです。


2009年9月11日
花径は9cmを少し超えたぐらいでかなり小さいです。株径13cm強の子株がこの時期開花しているのですから、しかたありません。

短毛丸の花

昨年までは子株は春、秋の年2回植え替えしていましたが、今年は4号鉢の1株だけで、5号鉢の3株は大株と同じ年1回とします。
ですからこの5号鉢のこの子株もこのまま春まで過ごさせますので、今着いている1ヶの花芽はもう取った方がいいかもしれません。
冬越しには花芽も子株もないほうがいいですからね!!

2009年9月13日
4号深鉢だった最も小さな1鉢だけを秋の植え替えをしました。

2009年11月14日

短毛丸の子株

現在5号深鉢でも十分なサイズにまで生長しています。一番小さいのは右端の株で、この秋に4号鉢から5号鉢に植え替えた株です。現在株径12.5cmです。
一番大きいのは左端の株で株径14cmにまでなりました。中央の2株も13.5cm前後です。

今年(2009年)は4株で合計28輪もの花を咲かせてくれるまで、立派に生長してく れました。我が家の短毛丸はこの4株以外は全て群生していた株ですので、株の下部が変形しているので、鉢の中央にうまく植え込みできなかったり、また形が四角くなっていたりするので、あまりきれいな姿ではありません。胴切りした株はまだ少しは良い形をしていますがそれでもなかなかきれいな円筒形には生長し てくれないようです。
でもこの4株の子供達は鉢の縁にぶつかったりしないように、こまめに植え替えて来ましたので、現在でもたいへんきれいな姿で生長してくれました。
5号鉢サイズまで育ち、植え替えも大株と同じく年1回としましたので、もう子株の育て方ではなくなりますのでこの辺で子株の生長記録は終了いたします。




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関西中部の高温多湿、冬はけっこう寒い地域で、かなり厳しい環境です。
基本は無加温、防寒、防風処理なしのベランダ栽培ですが、水やり後一週間以内で最低気温がマイナスの予報の時だけ5cm以下の子株だけを室内に取り込むようにしてます。最近はコンテナに入れるだけの場合もあります。ですが無加温のコンテナではコンテナ内もマイナスになります。
風の通り道にあるので、日照が無くても表土は割と早く乾きます。
水は基本的には雨水(弱酸性)を使用。貯めた雨水を使う場合と雨の日に外に出す場合とがあります。
水道水はPh5.8以上〜8.6以下に定められていますが、多くはPh7以上、地域によっては8以上のアルカリ性ですので、水道水をそのまま使うことはありません。私の町の浄水場のPhは7.39(2008年3月問い合わせ時)
水道水を使う場合は浄水器を通した水を前日かそれ以上前に充分攪拌し汲み置きして使います。
4月〜11月は基本的には常温の水ですが、12月〜3月の間は状況に応じて、暖め水温30〜35度でやる場合もあります
培養土のレシピ等もまだまだ試行錯誤の段階です。
もし参考にされる場合は、ご自身の栽培環境等十分に考慮し自己責任でお願いします。



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