ハマミズナ科プレイオスピロス属 帝玉(ていぎょく Pleiospilos nelii)の栽培暦と育て方
2023年05月11日 更新
![]() |
|||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
学名
|
Pleiospilos nelii | |
園芸名
|
帝玉(テイギョク) | |
性状
|
常緑多年草 | |
原産地
|
南アフリカ グレートカルー、リトルカルー(*2) | |
特徴
|
高度に進化した多肉葉を1対から4対もちます。生育期に直射光で育てた健康な肌色は上の写真のようにやや赤みとグレーを帯びており、斑点は透明感のある濃い褐色で鮮明です。株のサイズ(葉が2対の時)は長さ120mm、幅90mm、高さ50mmぐらいがMAXサイズのようです。またある程度年数が経つと分頭することもあるようです。 耐寒性、耐暑性とも(*1)に高く、たまにマイナス2、3度になる程度ならば通年屋外で栽培可能。ただし水やり後1週間ぐらいは夜間室内取り込みが安全! 1年を通してある程度の強光線と出来る限り長い日照時間を与えるように栽培することで健康な株になる。梅雨時、夏場は風通しが良いことも重要です!(*3) 新芽は実生1年半ぐらいまでは年に2〜3回出る場合もありますが、ある程度大きくなると、年に1回夏の終わり頃から年末にかけて出て来るようになってきます。株の大きさ、年齢や栽培環境にもよりますが、花芽は新芽の間から10〜1月上旬頃から上がってきて、1月〜4月頃花径40〜65mmほどの大きさで開花します。花芽は秋実生苗なら2年半で、株の大きさが5.5cm*4cmぐらいになると着けるようです(*4) 開花には強光線と日照時間、気温が必要です。開花は朝からの気温にもよりますが、お昼頃から始まり夕方(気温が高いと18時前頃まで咲いている事もあります)には蕾みます。これを5〜12回繰り返しますが、途中曇ったり、気温が低いと開かず、最後の開花が最初の開花から1ヶ月に及ぶときもあります。花は株の大きさや健康状態にもよりますが、7輪までは着けますし、うまくいけば上の写真のように4輪同時開花することもあります!(5輪花芽を着けた株は1〜3輪目、2〜4輪目、3〜5輪目の3回の3輪同時開花をしました!) また分頭すれば3段目左端のように6輪同時開花もすることもあります。 繁殖は基本は実生ですが、稀に分頭する場合があり、その場合はある程度大きくなれば株分けは可能と思います!交配は同株異花では受粉し、結実するようです。異株で交配させ結実したものと、異花で勝手に受粉し結実したものど色々ありますが、5株で20房結実しました。ですが2株用意しておいた方がより確実に交配できます。結実が自然に取れたら、種子を取り出し、取り蒔きすれば直ぐに発芽します!ただし発芽直後の子株は暑い夏が越せませんので、播種は夏の終わりが適期です。発芽には25〜30度程度の気温が必要ですが、生育には20度ぐらいが適温のようです。下段の写真が発芽直後から1年半までの実生の生長の様子です。結実は固いので、注意してニッパ等で割るか、水に浸けると簡単に割れものもあります。ただし水に浸けても開かない種子も必ず出て来ますので、こういった種子は直ぐに蒔かず、1、2年経ってから蒔いた方がいいかもしれません。2013年秋に2011年の種子を蒔きましたがこの写真のようにほとんど発芽しました。帝玉は発芽率が良いみたいですので、適当に蒔くと上のようにとんでもない状態になりますので注意! 播種床の表土1cmぐらいはバーミキュライトのような柔らかい用土のほうがよく根を張ります。その下の用土はある程度の通気性と水持ちがよければ何でもOKです。また少し覆土するか、スプレーヤーを強めに当てて、柔らかいバーミキュライトに種子を沈めたほうが発芽が揃いやすいです。表土にはハイポネックス微粉やマグアンプを砕いた物をすき込んでおくと発芽直後から肥料の食いつきがよくなり生長も早いです。また私はペンタガーデンを400倍にしてスポイトで葉面散布の要領で発芽した日から与えています。また鉢の下1/3程度を水に浸けて腰水で管理すれば播種時からずっと直射光下で管理できますので、遮光などは必要ありません。ただし水切れさせて、赤くしたりすると生長が止まりますので注意。植え替えは本葉が出てその本葉が1cm程度になればOKです。双葉の状態や、本葉が出て直ぐの場合の植え替えはかなり活着率が悪くなります。ですから播種は2、3cmの間隔を開けて蒔くのが良いです。本葉は早ければ発芽後1ヶ月ぐらいで出始め、およそ3ヶ月から5ヶ月で植え替えできるサイズになります。 実生について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい! 紫帝玉は帝玉の突然変異種で肌色と花色が紫色のものです。葉緑素が少ない分性質はやや弱いようです。紅帝玉は紫帝玉の中で、より赤みの強い品種で、つまり紫帝玉の選別品です。肌色が赤みを帯びているので、花色も紫ではなく赤が強いようです。ただしノーマル種でも直射光下で管理していると赤紫色が出て来るので、あまり花色の差が無い場合もあると思われます。最上段の右端の写真が我が家の紅帝玉です! |
|
管理
育て方 |
年間を通して雨や霜が防げる場所で、ある程度の強光線(*6)と長い日照時間(春から秋までは最低でも8時間以上、真夏はできれば10時間)を与えます。特に冬場と梅雨は光量と日照時間の不足にならないように注意! 梅雨から夏の終わりまで水やりを控え半休眠させ、半日日陰で管理するという栽培ではまともに育ちません!だから溶けるのです!! また秋口から新芽が出てきますが、断水し古葉の栄養を新芽に送り古葉を枯らすという育て方をされている場合もあるようですが、間違いです。帝玉はリトープスやアルギロデルマ金鈴、同族の青鸞や鳳卵のように常に一対の葉をもつ性状とは異なり十字対生葉を二対から四対もつ性状です。葉が一対になってしまうと花芽が上がりませんので、古葉を枯らすこと無く新芽を生長させるために、水やりはしっかりと行います。 植え替え時期等は下記を参照願います。(*7) 秋から春までは厳冬期を除き、積極的に水やりし新芽や花芽を大きく育てます。ただし5月〜10月までは新芽と翌年の花芽形成時期ですので、日照時間の不足や光量不足にならないように注意!(*5) 高温乾燥期は赤ダニ(赤いダニの総称)や根ジラミなどの被害を受けやすいので、注意! また株同士がぶつかったり、鉢の縁に外葉が当たっていると、新芽が出る時に外葉が十分に開く事が出来ず、外葉の着け根が割れてしまうことがあるので、注意! |
|
植え替え | 実生2年(対の長さで5cmほど)までの株であれば、一年中いつ植え替えても可。鉢底から根が出てきたり、新芽が出てきたときに古葉が隣の株とぶつかったり、鉢の縁にぶつかったりしたら直ぐに植え替えます。植え替えずにそのままにしていると、生育が悪くなり易いですし、合着面が実割れしたり、新芽が綺麗に出なかったりします。成株は単独で植え付けているので、ぶつかり等は気にしなくてもかまいませんが、根の張りも凄く直ぐに根鉢になる事も多いので、定期的に植え替えた方が生育がいいようです。春の開花後や秋(9月始め頃)が適期です。真夏と厳冬期を除けば、何時植え替えてもかまいませんが、あまり遅いと根を張らずに真冬になりますし、新芽の生長も遅くなりますので、その場合はあまり根を切らないほうがいいと思います。根は直根性が高いので深目の鉢が適します。 培養土は通気性が良ければ問題ありません。これまで百均のサボテン多肉用土やHC(3種類)のサボテン多肉用土でも植え付けましたが、たいへん良く育っています。元肥はマグアンプK小粒もしくは中粒を適量入れおき、あとは液肥で追肥すれば問題ありません。 7cm以上の成株の植え替え方についてはこちらを参照してください! 4〜6cm程度の子株の植え替えについてはこちらを参照して下さい! 3cm未満の幼苗の植え替えについてはこちらを参照して下さい! |
|
購入のポイント
|
サボテン、多肉を初めて栽培する人であれば、年末から2月頃に花芽を着けた、ある程度大きな株を購入するのがお勧めです!大きい株の方が耐寒性も耐暑性、耐強光線性もありますので、育てやすいと思います。 また帝玉の新芽は元の葉と同じ形で出て来ますので、形の悪い株はいつまで経っても変わりませんので、気に入った形の株を選びましょう! 帝玉は栽培に強い光線と長い日照時間がいるため、二週間以上HCや百均に置かれていた株は調子を崩していることも多いので、注意!! 抜き苗の幼株や葉が1対しかない株は、やや育てにくいので、初心者にはお勧めできません。 糊で固められた培養土の場合はなるべく早い時期に植え替えます。 糊で固められた培養土の落とし方はこちらです。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2013 年2月27日 HCで購入 8cm角ポット 表土ノリで固めたあった。 |
2013年3月19日 開花 4号プラ深鉢 | 2014年2月18日 およそ1年経過 | 2014年4月2日 大輪で2輪同時開花 |
![]() |
続く
|
||
2015年1月25日 2輪目まで花芽が上がってきた |
2015年3月27日 2、3輪目で同時開花 |
2015年12月3日 成株の中では最も新芽の生長が早い |